事故例

事故例1

医師らが、臨床病理センターの行った誤ったRh式血液型判定を信頼し、血液型不適合を疑わずにいたため、新生児に溶血性核黄疸による脳性麻痺が発生した事例において、関連した医療機関、臨床病理センターに総額約5,700万円の損害賠償を認定(昭和57.12.21札幌地裁判決)

事案の概要
甲は、第2子妊娠後に、乙医院において、母子健康手帳に各種検査の結果の記載を受けるとともに、その備考欄にRH式血液型について「RH(+)」との記載を受けた。この記載は、丙臨床病理センターの検査結果を移記したものだったが、検査報告書自体の添付はなかった。
その後甲は、里帰り分娩のために丁病院に転医し、正常分娩により娩出(母児ともに異常なし)した。丁病院は、乙医院において記載された母子健康手帳の備考欄の「RH(+)」の検査結果を確認しただけで、あらためて甲の血液型の検査をすることはなかった。
Rh式血液型不適合による新生児溶血性核黄疸の処置が遅れたために、第2子には脳性麻痺の後遺障害が発生した。
裁判所の判断
丙臨床病理センターは、裁判の中で乙医院からRh検査の依頼を受けたこと自体を争った。これについて裁判所は、各種証拠から、同検査センターにおいて検査が行われた事実、その検査結果には誤りがあったことをそれぞれ認定した。そして検査の誤りがその後の妊婦、新生児の管理態勢に影響を与えたことを理由に、乙医院、丁病院と共同して丙臨床病理センターも不法行為責任を負うものと判断した。
乙医院については、乙医院が専門検査機関である丙臨床病理センターの検査結果を信頼していたとしても、その検査結果を自己の診療内容とする以上は、その検査結果が包含する本件各結果をまねく危険を引受けるべき立場にあるという理由から、丁病院については、相当期間がありながら前医の検査結果を信じて検査を実施しなかったことと新生児の管理の不備とが相まって本件結果をまねいたものとして、それぞれ過失を認定した。
コメント  
その後、当事者双方が控訴しましたが、丙臨床病理センターは控訴審で1,000万円の支払いをして和解しました。乙医院、丁病院については、控訴審においても過失が認定され、判決で総額約5,600万円の支払いが命じられました(昭和60.2.27札幌高裁判決)。しかし結局、上告期間中に、乙医院約1,600万円、丁病院約5,200万円を支払うという内容の裁判上の和解が成立しました。
乙医院、丁病院の和解金額は、控訴審判決での認容総額約5,600万円よりも多い約6,800万円という金額になっています。これは、不法行為時から年5分の遅延損害金が発生している(事故発生から10年以上経過しており、約2,500万円程度の遅延損害金が発生していたと考えられる)ためと考えられます。
先にも述べましたとおり、丙臨床病理センターは控訴審で和解し、判決前に訴訟手続から脱退しているので、控訴審が丙臨床病理センターの責任をどのように考えていたのかは判然としません。
最終的な和解金額を見ると、乙医院1,600万円、丙臨床病理センター1,000万円、丁病院5,200万円となっていることから、丙臨床病理センターの責任が最も軽いのではないかと思われるかもしれませんが、この事案についていえば、(1)丙臨床病理センターがRh検査の依頼を受けていたか否かについての事実関係に争いがあること、(2)丁病院は相当期間(2か月程度)の妊娠経過の観察期間がありながら血液検査を実施していないことや新生児管理の不備等の過失が認められること、の影響が大きいものと考えられます。
この和解は、あくまでもこの事例についての和解なので、事案によっては、医療機関・検査会社の負担割合は上記の場合とは大きく変わるものと思われます。
例えば、検査会社においては日常、感染症等の起炎菌の培養検査等が実施されていますが、この検査結果に誤りがあったり検体を紛失・破損してしまったことにより、有効な抗生剤の投与ができずに患者が死亡した場合を考えますと、医師や当該医療機関が患者との関係で責任を負うことは避けられないとしても、内部負担割合としては、損害額のほぼ全額を検査会社が負担することになるものと考えられます。

事故例2

某大学病院において、気管支内視鏡検査により採取した生検検体を取違え、これにより肺癌でない患者を肺癌患者と誤診したために、肺癌でない患者の肺の一部を切除してしまった。

本件は、外注検査ではなく、病院内で生検検体の取違えが発生した事案です。訴訟等になる前に示談による処理がなされたようで、検体取違えが、採取、運搬、検査のいずれの段階で生じたものかは不明です。また、肺切除術等を担当した医師の術中所見はどうであったのか疑問点も残ります。しかし、いずれにせよ、病院内で検体を取違えた事実は明らかであったことから、早期話合いにより示談となったものと考えられます。
この件は刑事事件として取扱われ、担当の臨床検査技師が取調べを受けている(結果:不起訴処分)点で、パラメディカル・スタッフにも大きな衝撃をもって受け止められました。
仮に、検査会社において、検体の取違えにより、不必要な手術を実施してしまった場合には、検査会社に相応の賠償責任のほか、本件と同様に検査に関与した臨床検査技師等に刑事責任が問われる可能性があります。
検体の取扱いには、十分に注意しなければなりません。1人で検査は行わず、必ずダブルチェックをする等の工夫が必要でしょう。

出典:医療事故における衛生検査所の責任−2008年


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